DX  (デジタルトランスフォーメーション) とデータドリブン戦略の未来

デジタルトランスフォーメーションは、日本では2018年に経済産業省がDX推進のガイドラインを策定したのをきっかけにビジネスで注目され、施策が始まりました。そして現在では、ビジネスの進化において不可欠な要素となっています。多くの企業がDXの取り組みを進めており、技術革新を活用してビジネスプロセスを改善し、顧客体験を向上させ、新しい価値を生み出す原動力になる戦略を打ち出すことを目標としています。つまり、DXは、企業が競争力を維持し、市場の変化に迅速に対応するための鍵であり、その中心には、データの活用があります。昨今、データが主導する「データドリブン」なアプローチにより、企業はビジネスに係る課題に対して本質的に問題を捉え、定式化し、分析を用い、打ち手の効果を測定をするという一連のサイクルを実施することが必要不可欠となってきています。

データドリブンなマーケティング戦略においても、インサイトに基づいた顧客の行動パターンやニーズを分析しターゲティングを精緻化し、効果的な広告キャンペーンを展開し効果測定を行なっています。また、製品、サービス開発においても、市場のニーズをデータから読み取り、革新的な製品、サービスを開発する方向性を見出すことができます。これらの戦略は、企業の競争力を強化し、持続可能な成長につながります。

一方で、データ活用のニーズや理解が高まっているにもかかわらず、データを活用したビジネスの成果が十分に得られていると感じている企業は少ないのが現実です。多くの企業がデータ活用のスキルや組織全体のデータリテラシー不足という課題に直面しています。これらの課題を克服し、データドリブン経営を成功させるためには、適切なデータの種類・量・品質の確保、データ分析スキルの向上、そして統合データ分析基盤の構築が必要です。

PLGというアプローチ

データ分析をビジネスに活用する流れの中で、特にSaaS型サービスの企業を中心に注目を集めているPLG (プロダクトレッドグロース、Product-Led Growth) というアプローチがあります。PLGは、日本語にすると「プロダクト主導の成長」という意味になり、その名のとおり、プロダクト自体が主要な成長ドライバーとなるビジネスモデルです。もう少し詳しく「プロダクト」に関して記載しますと、プロダクトとは、ウェブサービスやモバイル向けアプリケーションなどのデジタルサービスを指します。顧客がこのプロダクトを実際に使ってみることで価値を実感し、その結果として、プロダクトの利用が促進され、企業の成長を目指します。

PLGアプローチを採用し、成功を収めた企業として、Zoom、DropboxやSlackが挙げられます。これらの企業のサービスを考えると理解しやすいと思いますが、多くの場合「フリーミアム」と呼ばれる基本的なサービスを無料で提供し、より高度な機能を有料で提供するというビジネスモデルを確立しています。

例えばZoomは、無料版でも十分にそのサービスを活用できるものの、40分の時間制限や参加人数の制限などがあります。有料版では、時間制限がなく、参加人数も増やすことができます。さらに、クラウド保存が可能であったり、ウェビナー機能があるなど、企業顧客向けやヘビーユーザー向けにより高機能なサービスを提供しています。無料版でそのプロダクトの良さを体験した顧客が、有料版に切り替えることで利益をもたらすというのは、PLGの考え方に沿っています。つまり、顧客がプロダクトを試し、それがきっかけとなって購入し、友人、同僚、知人にサービスを薦め、最終的にはビジネスの成長へとつながるという、まさにプロダクトが主導した成長です。

プロダクトが主導となって成長するためには、顧客の存在が重要になってきます。そこで、顧客の行動(カスタマージャーニー)や体験を理解するためにプロダクト・行動分析ツールが必要となります。世界中で使われているAmplitudeは、このデータ分析の領域で企業がより良いプロダクトを作る支援を行なっています。Amplitudeは、誰もが利用できるデジタル分析ツールを提供し、より深い顧客インサイトを可視化・分析し、その結果を企業が迅速に試作実行し、顧客とつながるビジネス向上を実現します。

プロダクト主導とセールス主導の違い

PLGのわかりやすい比較対象として、SLG (セールスレッドグロース) があります。SLGは、セールス、つまり営業チームがプロダクトを販売し、成長させるという戦略です。顧客との関係構築や個別のニーズに合わせたプロダクトの提案として、対面でのデモやカスタマイズされたプレゼンテーションが重要な役割を果たし、このアプローチは、エンタープライズ市場向けや専門性を伴う製品、サービスに効果的です。

SLGは直接的な顧客関係を重視し、PLGはプロダクトの自発的な利用と拡散を重視します。どちらの戦略も市場のニーズや企業の製品、サービスに応じて選択され、組み合わせて用いられることもあります。

PLGアプローチの成長導入例

SaaS企業をはじめとした多くの企業がPLGアプローチを採用することで成功を手にしています。その一例をご紹介します。

Dropbox

Dropboxは、バイラルな成長を促すフリーミアムモデルを適用し、シームレスなファイルを保存・共有するサービスを提供しています。無料版を体験し、満足した顧客が他者におすすめすることで、顧客数を増やしています。

また、Dropboxはコラボレーションや統合などの機能を強化することでプロダクトの魅力を高め、より多くの顧客を有料版に導いています。次回のブログでは、DropboxがどのようにAmplitudeを使用して新しいプロダクトの取り組みを加速させたのかを詳しくご紹介します。

Zoom

Zoomは、誰にとっても使いやすい高品質のビデオ会議ソリューションを提供しています。フリーミアムモデルにより、個人や小規模チームは無料でプラットフォームを利用でき、企業顧客にはさまざまな付加価値のある有料プランが用意されています。Zoomのバイラリティーは、初期の成長には不可欠な要素であり、実際に使った人がその使いやすさを気に入り、同僚、家族、知人に勧めたことで爆発的に拡大しました。

Amazon

Amazon、特にAWS (アマゾン ウェブ サービス) は、B2BスペースでPLGの原則を適用している優れた例です。AWSは、セルフサービスモデルでさまざまなクラウドサービスを提供しています。顧客はAWSサービスに簡単にサインアップし、従量課金方式で利用でき、必要に応じて拡張することができます。

Slack

SlackのPLG戦略では、フリーミアムモデルとセルフサービスのサインアッププロセスを採用しています。プロダクトは使いやすさを中心に設計されており、他のアプリケーションとの統合も重視しています。顧客は、同僚や仲間を簡単に招待することができ、それによって有機的な成長が促進されます。

まとめ

今回の記事では、DX (デジタルトランスフォーメーション) の進化におけるデータドリブン戦略と、PLG (プロダクトレッドグロース) アプローチに焦点を当てました。新型コロナウィルスによる外出規制に伴い、ウェブサイトやアプリの利用が増加し、その傾向は現在も続いています。加えて、昨今インフレ時代に突入し人件費高騰の煽りを企業も直面し、ビジネスプロセスの観点でもデジタル活用がより加速化しています。デジタルプロダクトにおける体験が顧客との大きな接点を生み出すようになった今、PLGの重要性はますます高まっていると言えます。

Amplitudeは、さまざまな観点でのデータ分析を容易に実現し、プロダクトの改善に必要な情報を迅速に提供することで、組織内のデータの民主化も実現します。これにより、データの専門家でない組織でも、データを活用して意思決定を行うことができるようになります。PLG戦略を推進する上で、Amplitudeは重要な役割を担い、プロダクトの成長を促進するためのインサイトを提供することで、企業の成長を支援します。

PLGについてのブログ第2弾では、なぜPLGなのか、そのメリット・デメリット、そしてDropboxの成功事例の詳細、AmplitudeのPLGの取り組みについてより深掘りした内容をお届けいたします。

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