NTTドコモ、ディープインサイト活用でオンボーディング成功率60%を達成
NTTドコモのデータ精査は、どのようにしてアカウント開設を8倍に増加させたのか
投稿日時
2024/10/15
鈴木 敬
データプラットフォーム部長
洞察/アクション/結果
1億人以上のユーザーを擁するNTTドコモは、シンプルさと詳細な洞察を兼ね備えたデータツールを求めていました — そしてAmplitudeを採用しました。現在、400人のビジネスチームのメンバーが、データ分析の専門家の助けを借りずに毎日、ファネル、ポートフォリオ、オーディエンス機能を活用しています。個々のメンバーが、ユーザーエンゲージメントのボトルネックやアクションに隠れた相関関係を発見できています。これらのインサイトがサービスのUI/UXの改善を促進しています。d払いでは、オンボーディングプロセスの改善により初回利用ユーザのQRコード決済の完了率を20%改善し、マーケティングオートメーションのシナリオ改善によりコンバージョン率を8倍改善しました。
NTTドコモは日本の主要な携帯電話キャリアですが、決済、オンラインバンキング、エンターテインメント、ヘルスケアなど、多岐にわたるサービスを提供しており、巨大な顧客ベースを持っています。例えば、当社のポイントプログラムには1億人の会員がいます — これは日本の人口の80%に相当します。
ビジネスの成長のためにこのような膨大で多岐にわたるデータのポテンシャルを最大限に活かすことは、容易ではありません。そのためには賢明なデータ戦略と、それを実現するための適切なツールが必要です。
データプールから洞察を得る
NTTドコモのデータ部門の責任者として、私の大きな目標は、ビジネスチームが膨大なデータプールからできるだけ多くのインサイト(洞察)を導出できるようにすることです。私は、複数のサービスにまたがるユーザーのエンゲージメントを高め、ユーザーを理解するのに役立つツールを探していました。そのツールは強力な分析機能があり、且つ使いやすいツールでなければいけません。
私は、ビジネスチームがデータの専門知識を必要とせずにデータを活用できるようにしたいと考えていました。Amplitude は、その分野で真のゲームチェンジャーでした。Amplitude により、さまざまなサービスにわたる顧客の行動や特性に関する深い洞察を迅速かつ簡単に得ることができ、ビジネスの収益増加に貢献しました。
Amplitudeを使い始めたのは1年半前です。Amplitudeのマネジメントチームそして日本のサポートチームの支援により、導入をスムーズに進めることができ、短期間でアハ・モーメントを体験することができるようになりました。
Amplitude は、その分野で真のゲームチェンジャーでした。Amplitude により、さまざまなサービスにわたる顧客の行動や特性に関する深い洞察を迅速かつ簡単に得ることができ、ビジネスの収益増加に貢献しました。
オンボーディング手順を改善して、完了率を20%改善
当社は非常に多くのサービスを提供しているため、Amplitude で多くのひらめきがありました。金融決済の分野で際立った事例の 1 つは、d 払いサービスに関するものでした。当社の主要サービスの一つである d 払いサービスでは、ユーザーはアプリをインストールし、QR コードをスキャンして支払いを行うことができます。
Amplitudeのファネルを使ったところ、オンボーディングの完了率はわずか40%であることがわかりました。詳しく調べてみると、ユーザーはサービスの利点を理解するためにいくつものチュートリアル画面を遷移しなければならないことがわかりました。多くのユーザーはチュートリアルの途中で離脱し、約43%は最初の画面で離脱していました。
この発見に基づき、ユーザーエクスペリエンスを刷新し、最初の画面でメリットを明示するようにしました。このシンプルなUXの変更により、完了率は60%に上昇しました!
必要な情報はすべてデータ資産の中にすでに存在していました。重要なのは、適切なツールを活用してそこから洞察を引き出し、アクションを促すことです。Amplitudeのファネルチャートは、顧客のオンボーディングプロセスの改善につながる実用的な洞察に、光を当てました。
Amplitudeからヒントを得たシンプルなUXの変更により、コンバージョン率が60%に向上!
サービス横断の分析によりマーケティング施策の効果を8倍向上
Amplitudeの活用が効果的なもう一つの分野は、オンラインバンキングサービスです。複数のサービスをアクティブに利用する顧客数を増やすことは、私たちの成長目標のひとつであり、ROIにとって極めて重要です。しかし、何百万ものユーザーの行動や彼らが利用するサービスを特定して、クロスセルを活性化するシナリオを特定することは技術的に困難でした。
Amplitudeのportfolioは、サービス横断のユーザ行動分析で効果を発揮しました。Amplitudeのportfolio機能を使えば、さまざまなサービスを1つのビューにまとめ、データを分析し、複数サービスを横断したユーザーアクションのつながりを見つけることができます。
多くのサービスの横断的なデータを精査することで、オンラインバンキングチームは、顧客がクレジットカードやQR決済の設定を変更したり、預金を調整したりすると、新規アカウントを開設する可能性が高くなることを発見しました。portfolioビューから直接得られるこの洞察は、非常に貴重なものでした。続いてオンラインバンキングチームは、Amplitude Audiencesを使用して、行動特徴に基づいて作成した顧客セグメントをターゲットにしたマーケティングオートメーションのシナリオを設定しました。
プロジェクトの結果を初めて見たとき、その成功に驚きました。Amplitude のポートフォリオから得た洞察によって、シナリオが展開され、コンバージョン率が 2% から 16% 以上に向上し、顧客獲得コストが当初の 8 分の 1 に削減されました。
Amplitude のポートフォリオから得た洞察によって、シナリオが展開され、コンバージョン率が 2% から 16% 以上に向上し、顧客獲得コストが当初の 8 分の 1 に削減されました。
複雑さを解きほぐす
私にとって、Amplitudeは「シンプル」という一言に尽きます。
以前は、ビジネスユーザーが膨大で複雑なデータを自ら活用することには、技術的な障壁がありました。それまでの複雑なデータ分析ツールでは、有用な示唆を引き出すにはデータ分析の専門家を必要としていました。それは典型的なビッグデータのジレンマでした。膨大なデータ量を持つことは素晴らしいことですが、それを使ってアクションにつながる示唆を出せなければ意味がありません。
ビジネスユーザーが社内外のデータ分析の専門家の支援を必要とする場合、そのリソースがボトルネックになっていました。顧客のニーズに迅速に対応できず、ビジネス上の課題を効率的に解決することができませんでした
しかし、Amplitudeをデータプラットフォームと連携したことで、すべてが変わりました。今では、データサイエンティストの助けがなくても、チーム自身でのデータの分析、イベントの設定、ファネルチャートの確認、コホートの精査が可能なだけでなく、様々な分析機能を直接使用することができます。Amplitudeのインターフェイスはとても使いやすく、複数のサービスにまたがる分析を行う場合でも、データの複雑さや技術的な難しさを意識することなく進めることができます。
私のお気に入りの機能は、Amplitudeのportfolioソリューションです。私たちのような多様なサービス・ポートフォリオにおいて、クロスセルを向上させる目的で、すべてのサービスにわたって顧客を育成する適切な方法を見出すのは、簡単ではありませんでした。しかし、Amplitude のおかげで、この問題を効率的かつ効果的に解決することができました。
Amplitudeをデータプラットフォームと連携したことで、すべてが変わりました。今では、データサイエンティストの助けを借りることなく、チーム自身でデータ分析、イベント設定、ファネルチャートのチェック、コホートの調査を行い、様々な分析機能を使うことができます。
一人ひとりが力を発揮
現在、約400人の社員がAmplitudeを使用しています。しかし、NTTドコモの同僚員が、指先ひとつでデータの力を使えるようにすることです。2024年末までに同ツールの社内ユーザーを1,500人以上に増やすことを目指しています。
すべてのチーム、部署、個人がこのような深い洞察を得られるようになることを想像してみてください。私たちは、より効果的に顧客体験を高めることで、複数の分野を横断して事業の可能性を最大化できるようになるでしょう。
Amplitudeを使えば、各サービスにおけるユーザー行動に関する深い洞察を得ることができ、効果の高いアクションを選択できます。ユーザ行動に関する洞察に基づきユーザーエクスペリエンスを向上し、前向きな変化を起こすことを私たちは目指しており。
すべてのチーム、部署、個人がこれらの洞察を得られることを想像してください。私たちは、成長し、関与し、顧客をケアするために、あらゆる分野で事業の可能性をフルに活用できるようになるでしょう。
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鈴木 敬
データプラットフォーム部長